2024.10.31
POS

電子マネー決済とは?種類や導入のメリット・デメリットを解説

2017年、政府はインバウンド対策や人手不足などの課題を解決する手段の一つとして「キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にする」という目標を掲げました。

2017年当時は21.3%だったキャッシュレス決済比率も、2023年には39.3%と目標達成に向けて順調に数字を伸ばしています。

 

このように今後もさらなる拡大が予想されるキャッシュレス決済のなかでも、この記事では

特に種類が豊富な電子マネー決済について解説します。

 

電子マネーの種類や特徴、事業者側から見た電子マネーのメリット・デメリットなどを紹介しますのでぜひ導入の参考にしてください。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

電子マネー決済とは

電子マネー決済とは、情報通信技術を使ってデータ化したお金を送受信することで支払いが完了する決済方法です。

電子マネー決済端末にスマートフォンや専用のカードをかざすだけで簡単に支払いができます。

 

クレジットカードとの違い

クレジットカードと電子マネーは、決済方法や審査の有無に違いがあります。

 

クレジットカードでは、決済時に暗証番号の入力やサインが求められるのが一般的です。それに対して電子マネーは、スマートフォンやカードを専用端末にかざすだけで決済できます。

 

また、クレジットカードを作成するには、利用者の信用情報を確認する審査を通過する必要があります。それに対して、電子マネー決済は会員登録や身分確認のみ、審査なしで利用が可能です。

 

電子マネーの支払い方法

クレジットカードは、利用代金が翌月に銀行口座から引き落とされる「後払い型」が基本です。

それに対して電子マネーの支払い方式は、サービスによって以下の3つにわかれます。

 

  • 先払い(プリペイド)型
  • 後払い(ポストペイ)型
  • 即時払い(デビット)型

 

ここからはそれぞれの特徴を解説します。

 

先払い(プリペイド)型

電子マネーのなかでもっとも一般的な支払い方式です。

事前に現金をチャージした残高から決済金額が引き落とされます。

 

先払い(プリペイド)型のなかでもあらかじめチャージされた金額を使い切るタイプと何度でもチャージが可能なタイプがあり、チャージの限度額は電子マネーによって異なります。

また、電子マネーによっては、残高が一定の金額を下回ると設定金額が自動的に入金されるオートチャージが利用可能です。

 

事前にチャージした金額までしか利用できないため、使いすぎを防ぎやすい、万が一不正利用された場合も被害額を最小限に抑えられるなどのメリットがあります。

 

<主な先払い(プリペイド)型の電子マネー>

  • Suica
  • PASMO
  • 楽天Edy
  • nanaco
  • WAON
  • PayPay

 

後払い(ポストペイ)型

クレジットカードや銀行口座と紐づける、携帯電話料金と合算するなどして、利用代金が後から引き落とされる支払い方法です。

 

事前チャージなしで利用できるため、チャージの手間がない、残高不足で決済エラーになることがないなどのメリットがあります。しかし、そのぶん使い過ぎないようしっかり自己管理する必要があります。

 

<主な後払い(ポストペイ)型の電子マネー>

  • iD
  • QUICPay
  • Apple Pay
  • 楽天ペイ

 

即時払い(デビット)型

デビッドカードや銀行口座と紐づけることで、決済直後に利用代金が口座から引き落とされる支払い方式です。

銀行の口座残高が利用可能枠となり、支払い後すぐに利用額が引き落とされるため、クレジットカードや後払い(ポストペイ)型の電子マネーと違って使いすぎの心配がありません。

 

また、単に銀行口座から現金を引き出した場合と違って、いつ・何に・いくら使ったのか利用履歴が残るため家計管理がしやすいのも魅力です。

 

<主な即時払い(デビット)型の電子マネー>

  • iD
  • QUICPay
  • VISAのタッチ決済

 

iD、QUICPay、VISAのタッチ決済など、電子マネーによっては先払い(プリペイド)型

、後払い(ポストペイ)型、即時払い(デビット)型の3種類のタイプに対応しているものもあります。

 

電子マネーの種類

電子マネーは支払い方式だけでなく、発行会社によって以下のように分類することもできます。

 

  • 交通系電子マネー
  • 流通系電子マネー
  • クレジットカード系電子マネー
  • QRコード系電子マネー

 

それぞれの主な特徴と代表的な電子マネーは以下のとおりです。

 

交通系電子マネー

JR東日本や西日本旅客鉄道(JR西日本)などの交通会社が発行する電子マネーです。

先払い(プリペイド型)のものが多いため少額決済に向いています。自動販売機や駅ナカの売店、コンビニエンスなど利用可能な場所が多く便利です。

 

代表的な交通系電子マネーであるSuicaやPASMOは、アプリで携帯と連携させればスマートフォンをかざすだけで利用できます。

 

<主な交通系電子マネー>

  • Suica
  • PASMO
  • ICOCA

 

流通系電子マネー

スーパーやコンビニなどの流通系企業が発行している電子マネーです。

店舗や通販などでの利用を前提としており、グループや系列店で買い物をするとお得にポイントが貯められます。貯まったポイントは加盟店での支払いに利用できます。

 

<主な流通系電子マネー>

  • 楽天Edy
  • nanaco
  • WAON

 

クレジットカード系電子マネー

クレジットカードの情報が登録してあるスマートフォンやカードをかざすことで決済できる電子マネーです。

クレジットカードと紐づけて決済するため事前チャージの必要がなく、利用代金は翌月の支払い日にクレジットカードの指定口座から引き落とされます。

 

署名や暗証番号の入力なしで利用できるクレジットカードと考えるとイメージしやすいでしょう。

 

<代表的なクレジットカード系電子マネー>

  • iD
  • QUICPay

 

QRコード系電子マネー

スマートフォンでQRコードを表示、または読み取ることで決済できる電子マネーです。

各社の専用アプリを使って、画面に表示したQRコードを店側に読み取ってもらったり、店舗のレジに掲示されているQRコードを読み込んだりすることで支払いが完了します。

 

スマートフォン1台で買い物やサービスの利用ができるのが、QRコード系電子マネーの魅力です。

 

代表的な電子マネーとしてはPayPayが有名で、導入コストが安いことから利用可能な店舗が多くなっています。実際に、クレジットカードは利用できなくてもPayPayは利用できるという店舗も多いです。

 

<代表的なQRコード系電子マネー>

  • PayPay
  • LINE Pay
  • 楽天ペイ
  • メルペイ

 

電子マネー決済を導入するメリット

スマホやカードをかざすだけでスムーズに支払いが完了する電子マネーは、利用者だけでなく事業者にもメリットのある決済方法です。

店舗や通販で電子マネー決済を導入する主なメリットは以下のとおりです。

 

  • 販売機会の増加
  • レジ業務の高速化・効率化
  • 現金管理の負担とミスの削減

 

それぞれの詳細を解説します。

 

販売機会の増加

クレジットカードは、原則として18歳以上でないと申し込みができません。また、18歳以上の場合でも与信審査に通過する必要があります。

 

それに対して交通系電子マネーや流通系電子マネーは、審査なしで誰でも所持が可能です。このため電子マネー決済を導入すれば、クレジットカードを持っていない人や若年層を集客でき、売上拡大が見込めます。

 

また、海外でよく利用されるWeChat Payや銀聯(UnionPay)などの電子マネーを導入すれば、外国人観光客などインバウンドによる売上拡大も期待できるでしょう。

 

レジ業務の高速化・効率化

現金決済の場合、店員はお金を数えて釣り銭を渡す手間と時間がかかります。クレジットカード決済の場合も、署名や暗証番号の入力に時間がかかりがちです。

 

その点、かざすだけで支払いが完了する電子マネーはスムーズに会計が進むため、店員の作業負担が軽減する、レジの混雑緩和につながるなどのメリットがあります。

 

現金管理の負担とミスの削減

現金支払いだと、管理の負担が大きく、釣銭やレジ締めなどの計算ミスも発生しやすいです。

電子マネー決済なら現金の受け渡しがないため、計算ミスが発生しにくいほか、レジに売上明細が記録されるため売上管理も簡単になります。

このように電子マネー決済を導入すれば、 現金管理の負担や計算ミスの削減につながります。

 

電子マネー決済を導入するデメリット

もちろん電子マネー決済の導入にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

  • 導入コストや手数料がかかる
  • トラブルが起きると決済できない
  • 高額の決済は難しい場合がある

 

事業にもたらすメリット・デメリットをよく比較して、導入を検討しましょう。

 

導入コストや手数料がかかる

電子マネー決済端末の導入には費用がかかります。

初期費用の目安は、レジに設置する据え置きタイプだと数百万円、コンパクトなモバイルタイプでも数万〜数十万円程度です。

また、端末によっては初期費用とは別に月額で利用料金がかかる場合もあります。

 

また、顧客が電子マネー決済で支払った場合、売上金額から平均3%の決済手数料が差し引かれます。クレジットカード決済の手数料率は平均3〜5%のためそれよりは低いものの、事業者によっては大きな負担となるでしょう。

 

決済できない場合がある

電子マネー決済端末に不具合が起きたり、通信トラブルが発生したりすると、決済できない可能性があります。その場合、決済端末を提供している会社に確認する必要があるため、トラブル発生のタイミングや復旧までの時間によっては、機会損失につながるリスクがあります。

 

また、先払い(プリペイド)型の電子マネーのチャージ上限額は、流通系電子マネーは5万円、交通系ICカードは2万と少額であることがほとんどです。高額商品の購入には利用できないため、取り扱う商品や客単価によっては高額決済が可能なクレジットカードの導入が適している場合もあります。

 

導入する電子マネーの選び方

電子マネー決済を導入する場合、商圏や顧客層に適した電子マネーを選択することが重要です。

 

たとえば店舗が駅の近くにある場合は、その地域で主要な交通系電子マネーを導入することで販売機会の増加が期待できます。近隣に大手のスーパーやコンビニがある場合は、そのブランドが提供している流通系電子マネーを導入するのも効果的です。

 

また、10代〜20代の顧客がターゲット層であれば若年層の利用率が高いQRコード系電子マネー、商品単価が低い場合は交通系電子マネーなど、顧客層や取扱い商品に適した電子マネーを導入することで集客促進による売上拡大が見込めるでしょう。

 

電子マネー決済の導入方法

電子マネー決済を導入するには、各電子マネーの発行元または決済代行会社と契約し、決済端末を導入する必要があります。

 

1種類のみ導入したい場合は、電子マネーの発行元との直接契約がおすすめです。各電子マネーの専用窓口から電話またはウェブで加盟店契約を申し込めます。

 

複数の電子マネーを導入したい場合は、決済代行会社との契約がおすすめです。決済代行会社とは、さまざまな決済手段を導入したい事業者と各決済サービス提供会社との契約やシステム提供を代行する会社のことです。決済代行会社を利用すれば、各社と個別に契約を結ばずに、さまざまな電子マネーをまとめて導入できます。

 

まとめ

近年、着実に普及が進むキャッシュレス決済。

そのなかでもサービスの種類が豊富な電子マネーは、商圏や顧客層に合ったものを決済方法として導入することで、集客の促進および売上の拡大が期待できます。

事業者ごとに導入費用や手数料率、月額利用料の有無は異なるため、各サービスの料金体系を確認し、費用対効果を考慮したうえで導入を検討しましょう。

 

株式会社近畿システムサービスでは、催事や移動販売などスペースの制約がある店舗でも利用できるPOSシステムを提供しています。また、インバウンド対策として有効な免税電子化システムなど、店舗の利益拡大や運営をサポートするさまざまなシステムを提供しております。

 

当社のシステム管理に興味がある方や、店舗管理・顧客管理などの社内システムに困りごとを抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

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