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今回は、令和2年度からスタートした、免税販売手続きの電子化について紹介します。
2021年10月以降は、免税手続きの電子化対応が必須です。
現在は準備期間中のため、書面での取引も可能ですが、2021年10月1日時点で電子化対応していない場合、免税販売を行うことができなくなります。
書面での購入記録票の提出が廃止されて、店側にも購入者側にもメリットの多い制度です。
免税販売を導入していない事業者の方も、電子化をきっかけに始めてみてはいかがでしょうか。
必要な手続きや準備するべきものについてまとめていますので、まだ導入できていない事業者の方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
免税販売手続きの電子化
令和2年4月1日からスタートした、免税販売手続きの電子化について詳しく紹介していきます。
従来の免税販売手続きとの違いについてもあわせて確認してみましょう。
従来の免税販売手続き
従来は書面による免税販売手続きが行われていました。
流れとしては、次の通りです。
- 販売額が基準を満たすかを確認
- 店側が購入者のパスポートを確認し、非居住者であることを確認
- 購入記録表と購入者契約書の作成
- 購入記録表をパスポートへ貼り付け
- 精算・商品の引き渡し
上記は、従来の免税販売手続きの大まかな流れです。
項目3、4番目の「購入記録表」の手続きが、書面によって行われていました。
電子化後の免税販売手続き
電子化後の手続きの流れは次の通りです。
- 販売額が基準を満たすかを確認
- お客様のパスポートを確認して非居住者であることの確認
- 店側が購入者に必要事項の説明
- 精算・商品の引き渡し
- 店側が国税庁に購入記録情報の提供
上記は、改正後の免税販売手続きのおおまかな流れです。
項目5番目の「店側が国税庁に購入記録情報の提供」を、インターネットを通じて行うようになりました。
主な電子化後の違い
では従来の書面での手続きと、改正後の電子化の手続きで大きく変わった点について詳しく見ていきましょう。
1つ目が、購入者に対しての説明の義務です。
- ①免税購入した物品が輸出するために購入されるものである旨
- ②本邦から出国する際、出港地を管轄する税関長に所持する旅券等を提示しなければならない旨
- ③免税購入した物品を本邦から出国する際に所持していなかった場合には、免除された消費税額(地方消費税額を含む)に相当する額を徴収される旨
※引用:
輸出物品販売場制度における免税販売手続が電子化されます(令和元年7月)|国税庁
以上の3点を口頭で説明するとともに、書面での交付や提示が義務とされています。
2つ目は、購入記録情報を国税庁の免税販売管理システムに送信することです。
販売者の事業所からパソコン等を使用してインターネットで免税販売システムに接続して、購入記録情報を送信します。
3つ目は購入記録情報の7年間の保存の義務化です。
輸出物品の販売を行う事業者が、購入記録情報を整理して、販売元で決められた期間保存をする必要があります。
電子化後の大きな変更点は、以上の3点です。
また、今までは購入者の方が出港時に購入記録表を管轄する税関等に提示していましたが、電子化後は旅券等の提示に変更になりました。
免税手続きの電子化に必要な準備
免税手続きの電子化の準備について、順番に説明していきます。
届出書を提出する
免税品販売を行う際には「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を店舗ごとに所轄の税務署に提出する必要があります。
既に免税販売を行っている店舗も多いかと思いますが、電子化に伴って再度税務署で手続きする必要があります。
忘れずに手続きを行うようにしておきましょう。
識別符号の取得
届出書を提出したら税務署から店舗ごとに個別の識別符号が通知されます。
届出書を出したとしても取得までに2週間~1カ月かかることがあるので、早めの申請が必要だ。
免税電子化システムを導入
まずは電子化のシステムを導入します。
システムの導入には必ず、パソコンやタブレット等の通信機器と、インターネット環境が必要なのであらかじめ用意しましょう。
次に、所轄の税務署長への届出書の提出が必要です。
「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を提出します。
その後、識別符号が所轄税務署長から通知されます。
その符号番号が、購入記録情報を国税庁の管理システムに送付する際、必要になる番号です。
データの送信と保存
データの送信方法に関しては3つの方法があります。
1つ目は、自社のシステムを使用して自社で送信する方法です。
これには、購入記録情報を国税庁へ送信するためのシステムを自社で作成しなければなりません。
自社でシステムを構築することになるので、コストと時間がかかります。
2つ目は、他社のシステムを利用して自社で送信する方法です。
他社で開発されたシステムを使って送信は直接自社で行う方法です。
3つ目は他社で開発されたシステムで、他社に送信業務をお願いする方法です。
これは「承認送信事業者」と契約をすることで可能になります。
上記3点の方法のうち、最も自社にとって導入しやすいものを選びましょう。
また、7年間のデータ保存義務に関してはデータまたは書類での保存になります。
データで管理する場合は、保存先の容量の確保も必要になるでしょう。
承認送信事業者との契約
では、「承認送信事業者」とは何でしょうか。
承認送信事業者とは、国税庁が定めた承認要件をすべて満たした事業者のことで、契約をしている輸出物品販売場の購入記録情報データの送信を行うことができます。
つまり、輸出物品販売場と国税庁の間に入って、購入記録情報データの送信業務を請け負う事業者のことです。
輸出物品販売場の事業者は、承認送信事業者から提供されるシステムをセットアップする必要があります。
承認送信事業者と契約することによって、システム構築や送信業務の手間が省けるでしょう。
システムの購入・提供を受けるコストはかかりますが、レジと連動させることができるサービスや、旅行者が免税店として自社を検索できるアプリに対応しているサービスもあります。
ネット回線や必要な機器を用意する
購入記録情報の送信方法として、スマートフォンやタブレット端末のカメラ機能やスキャナーなどでパスポート情報を読み取るのが主流になります。
スキャンするための端末やネット回線の準備ができていない場合には情報を送信することができないので、最低限環境を整えておく必要があります。
もし現在使っているネット回線がある場合、使い勝手がより良いものに交換するかどうかも検討しておくと良いでしょう。
免税システム導入によるメリット
最後に、電子化された免税システムを導入するメリットについて紹介します。
手続きが簡単になる
電子化に伴って、免税品購入の手続きは簡素化されています。
購入者の方も、署名が不要になるため、免税店での買い物が今まで以上にしやすくなるでしょう。
ペーパーレスでコスト削減
今まで書面で提出していた購入者誓約書への署名や購入記録情報書類の発行が不要になるため、紙のコストを削減することが可能です。
さらに、従来の方法では、購入者が購入記録情報の書類を出港時まで所持しておく必要がありましたが、免税システムによって必要がなくなり、手間を省けるメリットがあります。
購買分析が可能
構築されている免税システムによってはレジと連動させて、後から購入履歴を確認できるものもあります。
免税対象の商品の購買分析が簡単にデータ化されるので、購買分析の時短につながります。
適正在庫の確認や購買分析によって売り場の管理ができるようになる点は、メリットと言えるでしょう。
免税電子化システムを選ぶときに考えること
免税電子化に伴ってシステムを導入する必要がありますが、どのようなシステムを選ぶべきかは状況によって様々。
そこで、自社に合った免税電子化システムを選ぶ時に考えておきたいポイントを解説します。
必要な機能が使えるか
システムの導入の際にまず考えておきたいのは、そのシステムの機能が自社にとって必要な機能を備えているかどうかです。
例としては、POSシステムとの連動、QRコード決済はできるかなど、欲しい機能を事前にリストアップするなどして明確化しておくと良いでしょう。
導入・ランニングコスト
免税電子化システムのサービスには様々な料金体系があります。
導入時にかかる初期費用や、その後のランニングコストについては十分な確認が必要です。
高額のプランは自然と機能も充実しますが、必要のない機能が不要なら無駄なコストが発生してしまいます。
サポート体制
システム導入時にはシステムの不具合によるトラブルの発生が考えられます。
トラブル時の対応や導入サポートが充実したサービス選ぶようにしましょう。
また、システムに問題が出た場合の夜間や休日の対応が可能だともしもの時に安心です。
電子化の必要性
コロナ禍でインバウンド客がほとんどいない現在、免税手続の電子化の必要性を感じられない事業者もいるかもしれません。
電子化することによって、ペーパーレスや紙の保管場所が必要なくなることによってコストを削減することができます。
また、免税対応できる人材を育成しておくことは、事業を継続する上でも非常に有効です。
免税対応に関するマニュアルを作っておくと後の教育にも役立てることができる等、様々なメリットが免税店側にもあります。
ワクチンが普及し、国境の行き来が再開される見込みがある以上、日本にもいずれインバウンド客が増えてきます。
コロナ禍で自粛していた分、高額な旅行を計画している人が多く、日本に来る観光客も例外ではありません。
インバウンド客が一気に戻ってきた際には、感染予防対策も講じながら接客する必要があり、これまでよりも手間がかかることが予想されます。
電子化しておくことで、手渡しの接触を避けつつ、手続による行列などの密も防止することができます。
インバウンド客が少ない今のうちに、電子化対応に取り組んでおくのがおすすめです。
活用できる補助金や相談窓口について
免税システムを導入する際に活用できる補助金としてインバウンド対応力強化支援補助金です。
この補助金制度は東京都内の宿泊施設や飲食店、免税店、体験型コンテンツ提供施設を対象に、訪都外国人旅行者のニーズに対応した利便性を向上させる取組について支援するものです。
この制度を活用することによって免税システム等の導入や免税処理のためのパスポートリーダー等の端末機器の購入可能で、経費の2分の1までが補助されます。
ただし、補助金には業種や対象事業ごとに上限があるので、インバウンド対応力強化支援補助金のサイトで確認しておきましょう。
また、免税や電子化について悩みがある場合、東京都免税店支援公式サイトにて相談窓口を活用してみるのもおすすめです。
電話やメールで気軽に相談できるため、気になることがある方は東京都免税店支援公式サイトにてお問い合わせください。
コロナ禍でインバウンド客が少ない今は、免税販売手続の電子の準備期間として適しています。
免税担当のスタッフはもちろん、従業員全員が免税手続対応や新しいレジの操作に慣れる時間に当てましょう。
インバウンド客が増え出すのを見据え、今のうちから体制を整えておくことでコスト削減や業務効率の向上を目指すことができます。
まとめ
今回は、免税販売の手続きの電子化について解説しました。
電子化されたことによって手間が省かれ、より免税販売の効率化が進んでいます。
様々なシステムが構築されているため、ぜひ自社に合った機能が備わっているサービスを見つけて導入してみてください。
自社の製品が、外国人観光客の方の購買に繋がる一歩となるでしょう。
近畿システムサービスでも電子化に対応した免税システムを取り扱っております。
是非導入を検討してみてはいかがでしょうか