2020.05.21
免税システム

免税システムは導入すべき?関税の計算から分かること

免税システムを導入するイメージ

現在、免税店で導入が進められている免税システム。
関税の計算等の処理の手間はわかるものの、免税システムの導入でどのようなメリットがあるのか疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
そこで今回は、免税や関税についてのご紹介も交えつつ、免税システムの導入のメリットについて詳しくご紹介していきます。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

免税品の一般税率を判断するのは容易ではない

まず、免税品の一般税率を判断するのは容易ではありません。
 
一般税率には基本税率や暫定税率特恵税率等いくつも種類があり、素人ではその判別はかなり難しいものとなっています。
 
それぞれの税率を簡潔にまとめると以下のようになります。
 
1.国定税率と呼ばれるもの

  • 基本税率
    関税定率法により、輸入貨物のすべてについて定められている税率で、関税の税率の基本となるものです。
  • 暫定税率
    関税暫定措置法による税率で、一時的に基本税率により難い事情がある際に適用される税率です。
  • 特恵税率
    開発途上国からの輸入の際にその国の支援を目的として適用される税率です。
  • 入国者の携帯品、別送品に対する簡易税率
    入国者の携帯、別送によるものにかかる関税で、関税と消費税を統合したわかりやすい税率となっています。
  • 少額輸入貨物に対する簡易税率
    関税の価格が20万円以下の貨物に対して適用される税率で、関税を計算しやすいように一般税率より比較的簡単な税率となっています。

 
2.条約に基づいて定められている税率

  • 協定税率(WTO協定税率)
    WTOによって規定されているもので、一定率以下の関税しか課さない約束がされている税率です。
    最恵国待遇(他の国に適用している最も良い条件の待遇を締結国に適用すること)の国等からの産品に対して適用されます。
  • 経済連綴協定に基づく税率(EPA税率)
    EPAの締結国からの産品を対象に、協定に基づいて適用される税率です。

また、これらの関税には適用の順位があり、それは以下のようになります。

  1. 特恵税率
  2. 協定税率
  3. 暫定税率
  4. 基本税率

 
参考URL:「税関」関税のしくみ

免税店で関税がかけられているもの別の計算例

関税などを計算しようとする人ここからは免税店で関税がかけられているもの別の計算例について軽くご紹介していきます。
後ほどご紹介する関税額の表を確認し計算を行うと、関税額は以下のようになります。
 

ブランデーの免税範囲を超えて2.5L購入する場合
2.5L×800円/L=2000円

 
よって酒税額は2000円となります。
 
また、関税というのは、旅行者に有利になるように免税となる品目を選択し、課税することとなっています。
 
そのため、免税範囲の枠内でどの品物に課税をするかも変化してくるので、そのややこしさがよくわかります。
 
以下に計算例を出しておきます。

ウイスキーを1L、ブランデーを0.5L免税範囲を超えて購入する場合
(ウイスキー)
1L×800円/L=800円
(ブランデー)
0.5L×800円/L=400円

1200円の関税がかかるように思えますが、同じ課税の枠(酒税)なので、量の少ない方の関税を考えます。
 
よって、この場合の酒税額はブランデーのみの課税と考え、400円となります。

簡易的な税率が適用されるもの

簡易的な税率が適用されるものは大きく分けて3つあり、それが酒類、紙巻たばこ、その他の品物となります。
 
また、酒類に関してはその酒類によってその関税が異なるため、一通り以下にまとめました。
 
酒類(リットルあたり)

  • ウイスキー、ブランデー 800円
  • ラム、ジン、ウォッカ 500円
  • リキュール 400円
  • 焼酎 300円
  • その他(ワイン、ビール等) 200円

紙巻たばこ 1本あたり13円
 
その他の品物 15%
 
以上のようになっており、関税が無課税のものに関しては、国内の消費税率(軽減税率なら8%、標準税率なら10%)が適応されます。

一般の関税率が適用されるもの

以下のような品物に関しては簡易税率ではなく、一般の税率が適用されます。

  • 1個(1組)の課税価格が10万円を超えるもの
  • 米(納付金の納付が必要となります。)
  • 食用の海苔、パイナップル製品、こんにゃく芋、紙巻たばこ以外のたばこ、猟銃
  • 簡易税率の適用を希望しない旨を税関に申し出たときは、旅行者が携帯し、又は別送して輸入する品物の全部 など

また、これらには関税の他にも消費税、地方消費税がかかるため注意が必要です。
 
詳しい内容は税関のホームページに記載されているので、こちらを参考にしてください。
 
参考URL:(税関ホームページ、輸入統計品目表):

消費税および地方消費税のみ課税されるもの

関税無税品(腕時計、貴金属製の万年筆、貴石(裸石)、ゴルフクラブ、書画、彫刻、 パソコンなど)と呼ばれる関税がかからない品物は、課税価格に対して消費税及び地方消費税(合計で10%)のみが課税されます。

免税システムの導入がおすすめ

免税システムをおすすめする男性まだまだ表面的な説明しか行えていませんが、関税について知識を理解するのが難しいことがわかったのではないでしょうか。
 
そこで、冒頭でもお伝えした通り、免税システムの導入がおすすめとなります。
 
税率の判別が不要になるだけでなく、今まで書類で行なっていた作業を電子化することにより、作業効率の大幅アップが見込めます。

免税システム導入によるメリット

免税システムの導入によって得られるメリットについてもう少し詳しく紹介します。
 
面倒な手続きや関税の計算に悩まされている場合は以下のメリットをチェックして導入を検討してみてください。

手続きが簡単になる

免税システム上では、免税品の購入手続きは簡単に行えるようになっています。
 
購入者の方も署名が不要になるため、免税店での販売促進につながるでしょう。

ペーパーレスでコスト削減

今まで書面で提出していた「購入者誓約書への署名」や「購入記録情報書類の発行」が不要になるため、ペーパーレス化が可能です。
 
ペーパーレス化をすることで、用紙の購入や保管が必要なくなるので経済的にも空間的にも節約ができます。
 
さらに、今までは購入者が購入記録情報の書類を出港時まで所持しておく必要がありました。
 
しかし、免税システムの導入によって手間が省けるようになるため、販売店側にも購入者側にもメリットがあります。

購買分析による売り上げ向上

免税システムによってはレジと連動させて、購入履歴を確認可能です。
 
全ての商品の購買情報が簡単にデータ化できるので、購買分析を行う際に非常に役立ちます。
 
適正在庫の確認や購買分析によって売り場の管理によって売り上げの向上が狙えるのは大きなメリットです。

免税電子化システムを選ぶときに考えること

免税電子化システムを選ぶときに考えること
免税電子化に伴ってシステムの導入を検討する際に気になるのが、「どのようなシステムを選ぶべきか」です。
 
企業や店舗の規模や状況によって様々なため、一概に「これが良い」と断言するのは難しいです。
 
そこで、ここからは自社に合った免税電子化システムを選ぶ時におさえておきたいポイントについて解説します。

欲しい機能があるか

システムの導入の際にまず考えておきたいのは、そのシステムに自社が求める機能を備えられているかどうかです。
 
例としては、POSシステムとの連動やQRコード決済はできるかなどが挙げられます。
 
事前に欲しい機能を話し合って明確化しておくと良いでしょう。

導入/ランニングコスト

免税電子化システムのサービスは料金体系が分かれています。
 
導入時にかかる初期費用が大きい代わりにカスタマイズ性が高い方法や、初期費用が少ない代わりにランニングコストがかかるクラウド形式のものがあります。
 
導入の前にコストを計算しておくことが必要です。
 
高額のプランは自然と機能も充実しますが、不要な機能や使いこなせない機能を省いて低コストで導入できるのが理想でしょう。

サポート体制について

システムを選ぶときはサポート体制が充実しているかについてもおさえておきましょう。
 
システム導入した後には、システムの不具合によるトラブルの発生が考えられます。
 
もちろんトラブルが少ないシステムを選ぶことも大切ですが、トラブル発生時の対応にも注目しておきたいです。
 
また、導入の際にはわからないことが多いため、サポートが充実したサービス選ぶとスムーズに進みます。
 
また、システムに問題が出た場合の夜間休日対応をしていると、万が一の時も安心です。

電子化の必要性

コロナ禍で海外からの旅客が少ない現在、免税手続の電子化の必要性を感じられないかもしれません。
 
しかし、これから観光業が再び盛んになった際のために免税対応できる人材を育成しておくことは、非常に重要です。
 
また、免税対応に関するマニュアルを作っておくと後の教育にも役立てることができるので、今のうちから積極的に行っておくと良いでしょう。
 
ワクチンが普及し、国境の行き来が再開されれば少しずつ旅行客が増えてきます。
 
その際には今まで以上に感染予防対策に気をつかいながら接客する必要が出てくることでしょう。
 
そこで、今から電子化を進めておくことで、接触を避けつつ、手続きに時間を取られて行列を作ってしまうことも防止することができます。
 
レジの回転が早ければ、業務効率の向上だけでなく、密を避けることも可能です。
 
旅行客が少なく、教育の準備ができる今のうちに電子化対応に取り組んでおくと、今後必要な時に優位に立つことができます。

まとめ

今回は難しい税率についてのご紹介がメインとなりましたが、いかがだったでしょうか。
 
繰り返しにはなってしまいますが、これらの知識を完全に理解することは難しいため、免税システムを導入するのがおすすめです。
 
近畿システムサービスでも、免税システムのサービスを取り扱いしています。
導入を考えている方は、ぜひ前向きに検討してみてください。
 
>>免税システムの詳しい情報はこちら

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