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世界中でコロナの流行も落ち着き、日本へのインバウンドが増え始めました。それに伴い、免税システムを導入した免税店も多く見受けられます。
免税店で商品を購入すれば通常よりも安くお買い物を済ませられるので、海外旅行者にとっては非常に嬉しいサービスです。
しかし、中には免税とはそもそも何なのか知らない方もいるでしょう。
そこで今回は免税の意味や仕組み、免税電子化のメリットをまとめました。
本記事を参考に免税電子化への理解を深めていきましょう。
目次
そもそも免税とは?
免税とは一定の要件を満たす場合、消費税を免除してくれるものです。実際にどのような仕組みなのかを見ていきましょう。
消費税の仕組み
消費税とは、商品やサービスなどの価格に対して、幅広く公平に課税される間接税です。消費税は消費者が負担し、事業者が納付することになっています。
税を納める人と負担する人が同じである税金を直接税といいますが、税を納める人と負担する人が違う場合は間接税といいます。
間接税は消費税だけではなく、酒税なども同じです。
1989年に初めて日本で消費税が導入されてから30年以上経ち、2019年には10%に上がりました。
- 標準税率10%(消費税率7.8%、地方消費税率2.2%)
- 軽減税率8%(消費税率6.24%、地方消費税率1.76%)
消費税を上げる基準としては、主に年金や医療など、社会保障の財源確保のためです。
この社会保障制度の財源は保険料だけではなく、税金や国の借金に頼っています。
消費税の仕組みとして「仕入れ」に関する知識が必要です。
仕入れとは通常メーカーなどの事業者が作ったものを卸売業者や販売店が購入して販売しますが、この購入する行為を仕入れといいます。
この仕入れをするという行為は「消費」することではないため、課税されません。
消費税は公平に課税されますが、海外からの流通などの取引段階で、二重に税金がかからないようにする仕組みが採られています。
売上に対する消費税額から仕入れした分の消費税額を控除し、税が累積しない仕組みです。
参考:消費税の仕組み|国税庁
知っておきたい軽減税率のこと
「軽減税率」は、生活しているなかであまり聞きなれない言葉ですよね。
軽減税率とは消費税を10%引き上げる際、日本政府が「消費が落ちないように」と、生活費必需品を消費税8%に据え置く形で作った制度です。
軽減税率が対象となるものは、以下のようなケースがあげられます。
- 食品表示法に規定する食品(酒類は除く)
- 外食やケータリング(テイクアウトや宅配は対象)
また、イートインも行っているコンビニのような形態は、外食かテイクアウトかによって販売者が利用者に意思確認する方法で判定します。
一時期、利用者や従業員が混乱するのではないかと物議をかもしましたが、特に大きな混乱にはなりませんでした。
大きな混乱が起きなかった背景として、レジの電子化やキャッシュレス決済があったからといわれています。
ちなみに、この軽減税率はいつまで実施するのか未定です。
安い価格で購入できる理由
免税で商品を安い価格で購入できる理由は、商品の購入時にかかる税金の一部が免除されるからです。
海外からの旅行者が購入した商品はいずれ国外に持ち出されます。
この「いずれ持ち出される商品」は「輸出」扱いに該当するため、免税の条件を満たしていることになり、輸入時に発生する税金や消費税が掛からないのです。
免税店には国際空港内にある空港型免税店と、繁華街などにある市中免税店の2種類があります。
空港型免税店の場合は関税や酒税、たばこ税などが免除され、市中免税店の場合は消費税が免除されます。
免税の対象になる商品
免税の対象になる商品は、一般物品と消耗品の2つに分けられます。
それぞれについて詳しく記載していきますので、一緒に見ていきましょう。
一般物品
一般物品で主に挙げられるのは、家電製品やカバン、靴、洋服、時計、宝飾品、民芸品などです。
生活で使用する物のほとんどは一般物品として免税の対象になります。
反対に金地金や白金地金などの生活に必要ないもの、商用、販売用に購入したと判断されるものは免税の対象外になります。
一般物品の場合、お店で5千円以上の買い物をした時に免税が適用されます。
消耗品
消耗品で主に挙げられるのは、食品や果物、飲料、タバコ、医療品、化粧品などです。
使い捨ての商品や使うにつれて減る商品はすべて、消耗品に分類されます。
消耗品の場合、お店で5千円以上、50万円以下の買い物をした時に免税が適用されます。
お酒、タバコ、香水は例外
消耗本の中でもお酒、タバコ、香水に関しては金額に関係なく、それぞれ個別にルールが設けられています。
お酒は1本760ミリリットルのものが3本まで、タバコは紙巻たばこが400本まで、香水は2オンス(58ミリリットル)までとなっています。
なお、2021年10月1日から、タバコの免税枠の変更が予定されており、それ以降は紙たばこ200本までが免税対象となるそうです。
参考:海外旅行者の免税範囲
免税の対象者
免税は「非移住者」に対する販売でないと認められません。
「非移住者」とは基本的に外国人のことを指しますが、日本人であっても一定の条件を満たす者は非移住者に該当します。
外国人の場合
- 外国人は原則として非移住者として取り扱われる。
- 外国政府または国際機関の公務を帯びる者。
日本人の場合
- 外国にある事務所(日本法人の海外支店等、現地法人、駐在員事務所及び国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者。
- 2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者。
- ①及び②に掲げる者のほか、日本出国後、外国に2年以上滞在するに至った者。
- ①から③までに掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6か月未満の者。
Duty-freeとTax Free
免税店には「Duty-free」と「Tax Free」を表示しているところもあり、どちらも免税してくれると勘違いしがちです。
しかし、これらにはそれぞれ4つの違いがあります。
- 利用できる人が違う
- 免税できる税金の種類が違う
- 免税になる商品が違う
- 免税の対象金額が違う
酒税やタバコ税などの免税を受けられるのが「Duty-free」と表示しているお店です。パスポートと航空券の提示が必要なのと、購入した商品は空港で受け取ります。
Duty-freeの店舗は国際空港に入っていることが多いので、「空港型免税店」とも呼ばれることが多いです。
反対にTax Freeは消費税が免除され、パスポートと航空券を提示すればその場で商品を受け取れます。
Tax Freeを掲げている店舗は街中でもよく見られ、「市中免税店」とも呼ばれています。
海外旅行者の免税範囲
海外旅行者の免税範囲は大人1人につき海外市価で20万円までと定められています。
本人が手荷物として海外から持ち込んできた物品に加え、旅行先で購入して別便で日本に送ったものがある場合は、それも合算します。
免税を受けられないケース
これまで記載してきた条件を全てクリアしていても、以下に該当する者は免税を受けることができません。
免税を受けられないケース
- 空港の自動ゲートを使用し、パスポートに入境日を示すスタンプが押されてない場合
- 入国後6ヶ月が経つ場合
- 日本で仕事をしている場合
- 購入金額等の条件を満たしていない場合
上記のどれか1つでも当てはまる場合は免税の対象外となってしまうので注意しましょう。
免税店になるためには
免税販売するためには、免税店の許可が必要になります。以下のような手順があるので参考にしてください。
申請する場所
納税地を所轄する税務署に申請します。経営者が納税地を税務署に許可を受けるためにも、店舗ごとに申請しなくてはなりません。
申請は複数店舗分まとめて行うこともできます。
必要書類を用意
輸出物品販売場許可申請書に必要事項を記載して申請するのですが、そのほかにも持参する必要書類があります。
所轄の税務署によって必要書類が変わるので、事前に確認しましょう。一般的には以下のような書類があるので参考にしてください。
- 社内の免税販売マニュアル
- 販売場所の見取り図
- 事業内容がわかるもの
- 販売場の取り扱いしている商品(一覧)
審査基準は?
これまで紹介した上記の要件を、すべて満たしている必要があります。
それ以外は以下の条件もあるので参考にしてください。
- 国税の滞納がないこと
- 輸出現物品に国税の滞納がないこと
- 非居住者の利用する場所か、非居住者の利用が見込まれる場所に販売場があるか
- 免税販売手続きに必要な人員の配置
- 免税販売手続きするための設備が整っている販売場であること
また、免税事業者は、課税期間中の課税売上高が1,000万円以下の場合、課税選択の手続きを行えば課税事業者になれます。
ちなみに、課税事業者になれば課税期間の開始前に、税務署へ「消費税課税事業届出書」を提出しなくてはなりません。
もし提出するのを忘れてしまった場合は、還付金が発生した際に受け取れなくなるので注意しましょう。
免税販売時の全体の簡単な流れ
実際に免税販売時の全体の簡単な流れを紹介します。
- 免税対象者がパスポートを提示する
-
免税対象者が各種記録用紙に記入する
免税店側は購入記録票※1を作成する(免税対象者のパスポートに貼付)
免税店側は免税対象者へ購入契約書※2にサインしてもらい、用紙を7年保存する -
日本国外へ輸出する
免税対象者は税関に購入記録表を提出し、商品を携帯して出国する
※1:購入記録票は、商品購入の証明書です。購入者が購入記録票をパスポートに貼り、出国する際税関に提出しなくてはなりませんでした。
※2:購入契約書とは、「商品を日本で消費しない」「購入後は30日以内に日本から輸出する」などの条件をあげて、免税対象者に契約させるものです。
免税販売手続きの電子化とは?
免税販売手続きの電子化とは、免税対象者の購入記録情報をインターネット回線などで国税庁長官へ電子的に送信することです。
これまで全体の免税販売手続きの流れを紹介しましたが、「電子化の導入の義務付け」という大きな変更がありました。
免税電子化制度は2020年4月から運用が開始されていましたが、2021年10月1日以降から完全電子化となっています。
免税店側は、免税販売するための電子化手続きを行う必要があります。
- 購入記録情報を送信するためのシステムを準備する
- 各輸出物品販売場で「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を、事業者の納税地でもある税務署長に提出する
電子化に対応しない場合は、免税販売ができないので注意してください
免税販売手続き後は免税対象者への説明が必要
電子化以降は書類の作成や保管が不要になりますが、免税対象者に説明する必要があります。
主な内容は以下の通りです。
- 免税品は日本国外に輸出するために購入すること
- 出国時には税関でパスポートの提示義務があること
- 免税品が輸出されていないことが判明した場合、出国時に商品の消費税が追徴されること
これらの内容は口頭や書面、店内に提示する形でもよいとされています。
国税庁のサイトでは英語・中国語・韓国語・日本語で説明できる【免税物品を購入する外国人旅行者の方へ】というリーフレットがあるので、活用しましょう。
参考:輸出物品販売場における輸出免税について|国税庁
免税販売手続きの電子化のメリット
電子化によって免税対象者だけではなく、免税店にもメリットがあります。
事務作業の軽減
従業員や免税対象者とともに、書類記入などの事務手間が省けます。面倒な手続きがあると、商品の購入意欲が失われてしまう可能性も。電子化によって気軽に免税品を購入できるようになりました。
スムーズなシステムによって客足が増え、免税店側の売上アップにつながるというメリットもあります。
免税手続き時間の短縮
免税対象者はこれまで面倒だった購入契約書への署名が不要になり、税関に購入記録票も提出する必要がなくなりました。
事務手間がかからず、旅券への購入記録票の貼り付けや割印する必要もありません。
保管がラクになる
購入契約書は7年間の保管が必要です。
これまで、多くの免税対象者が利用する免税店の場合は、書類を収納するために別倉庫を借りることもあり、コストや負担がかかっていました。
電子化によってデータ上で管理ができ、場所も取らず免税店側の負担が軽減されます。
免税対応に便利な承認送信事業者
承認送信事業者とは、免税店の事業者が行うべき購入記録情報の作成や送信などを代行する業者です。
通常、承認送信事業者の承認を受ける場合は、納税地の所轄税務署長の承認が必要で、承認書類を作成し、提出先に持参するか送付しなくてはなりません。
さらに、国税庁に購入記録情報を送信するためのシステムが必要です。これに対して3つの選択肢があります。
-
自社でシステムを開発して国税庁に送信する
免税店自ら購入記録情報を送信する方法です。ソフトウェアやアプリケーションを用意しなくてはなりません。 -
他社のシステムを購入し、自社でデータ送信する
他社のシステムを使って、自社でデータを送信する方法です。 -
承認送信事業者のシステムを導入し、送信業務なども委託する
承認送信事業者を介し、購入記録情報を送信する方法です。業務を一部委託することで、自社のサービスが滞りなくスムーズに行われます。
免税店側としては承認送信事業者に社内業務の一部を委託することで、電子化対応に必要な手間を省けます。
自社にとってメリットの多い方法を選び、売上向上につなげましょう。
参考:[手続名]承認送信事業者承認申請手続
参考:承認送信事業者って?免税システム導入前に知るべきこと
まとめ
免税は海外旅行者にとって非常に嬉しいサービスです。
免税を受けることで購入時にかかる一部の税金が免除され、商品を通常価格よりも安く購入することができます。
しかし場合によっては免税を受けられないケースもあるため、これから免税を受ける予定のある方は今回紹介した情報を頭の片隅に入れておいてください。
また、免税店を経営している方の場合には、免税手続きにかかる時間も気になるのではないでしょうか。
近畿システムサービスが提供している免税システムなら、手書きでの手続きに比べて1件あたり1分程度時間を短縮することができるので、旅行者を待たせることなく最高の「おもてなし」が可能です!
少しでも気になった方は、ぜひチェックしてみくださいね。
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