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CSR(企業の社会的責任)とは、企業の事業活動が社会や環境に及ぼす影響を考え、その責任を果たすことを意味します。近年、SDGsやコンプライアンスの高まりとともに、CSRの重要性が高まっているのが特徴です。
CSRには、企業イメージの向上や従業員の定着率向上、優秀な人材の採用など、さまざまなメリットがあります。そこで本記事では、CSRに関して詳しく解説します。また、企業がCSR活動によって得られるメリットも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
CSR(企業の社会的責任)とは?
CSR(企業の社会的責任)とは、企業が自らの事業活動が社会や環境に及ぼす影響を認識し、その責任を果たすことを意味します。
企業は、自社に合ったCSR活動に焦点を当て、コストと効果を分析しながら適切な資源投入を行うことが重要です。
また、CSRは企業の利益ではなく、社会的課題の解決を目的とする概念であり、CSV(共通価値の創造)やサステナビリティとは異なる考え方です。企業はCSRの意義を理解し、会社の理念に沿った活動を実践することで、社会からの信頼を得られるでしょう。
CSRの歴史
CSRの概念は決して新しいものではありません。日本では1956年に経済同友会がCSR決議を行って以来、60年以上の歴史があります。1990年代後半からは、環境を中心としたCSR活動が進み、企業の社会的責任に対する意識が高まってきました。
近年では、SDGsの推進やコンプライアンスの強化などを背景に、企業にとっての重要性がさらに高まっています。企業は自社に合ったCSR活動に取り組み、社会からの信頼を得ることが求められています。
CSR7つの原則|ISO26000
ISO 26000では、企業が社会的責任を果たすための7つの原則が定められています。
7つの原則 | |
説明責任 | 自社の決定や活動について説明する責任を持つ |
透明性 | 組織の意思決定プロセスや活動について透明性を確保する |
倫理的な行動 | 誠実性、公正性、正直性に基づいて行動する |
ステークホルダーの利害の尊重 | ステークホルダー(消費者、株主、取引先、地域、従業員、政府など)の利益を考慮する |
法の支配の尊重 | 適用される法律や規制を遵守する |
国際行動規範の尊重 | 国際的に認められた行動規範を尊重する |
人権の尊重 | 人権を尊重し、差別のない社会を実現する |
また、ISO 26000では、企業が取り組むべき7つの中核主題が定められています。
ISO 26000の7つの中核主題 | 概要 |
組織統治 | 組織の意思決定プロセスや責任体制を確立する |
人権 | 人権を尊重し、差別のない職場環境を実現する |
労働慣行 | 公正な労働条件や労働安全衛生を確保する |
環境 | 環境への負荷を最小限に抑え、持続可能性を追求する |
公正な事業慣行 | 腐敗防止や公正な競争を実践する |
消費者課題 | 製品・サービスの安全性や顧客満足を確保する |
コミュニティへの参画及び発展 | 地域社会への貢献を行う |
企業はこれらの原則と中核主題に基づいて、自社に合ったCSR活動に取り組むことが求められています。CSRの実践により、企業の競争力や信頼性の向上につながります。
CSRが日本の企業に導入され始めた理由
日本の企業がCSRを導入したきっかけは頻発に起こった不祥事が原因だとされています。下記ではそれぞれの国における違いを解説します。
日本でもCSRを導入した背景
日本企業がCSRを導入した背景は、1960年代から1990年代にかけて企業の不祥事が多発したことにより、企業に対する社会からの信頼が失われていったことが大きな要因です。
さらに、1990年代後半からの「環境経営」の定着や、2000年代以降の企業不祥事の頻発も、CSR活動の重要性を高める要因となっています。これを受けて、企業は単なる利益追求だけでなく、社会的責任を果たすことが求められるようになりました。
企業は事業活動を通じて地域社会への貢献やボランティア活動などを実施することで、企業価値の向上と社会的責任の両立を目指すようになったのです。
アメリカ企業におけるCSRの違い
CSR先進国でもあるアメリカでは、1990年代後半からCSRに関する取り組みが広がり、2000年代にはグローバル化に伴う社会問題を背景に、CSRの法整備が進展しました。
日本企業に比べ、アメリカ企業は全体的に規模が大きいため、CSR関連の予算も数千億円と大規模になる傾向にあります。
米国の株式市場では、CSRに関する投資家の関心が非常に高く、CSRへの積極的な取り組みが企業価値向上につながる可能性が高いとされています。
ヨーロッパ企業におけるCSRの違い
EUでは、2000年に採択された「リスボン戦略」の目標達成に向けて、CSR活動の強化を重要な要素と位置付けました。この戦略は、EUの経済・社会改革を長期的に推進するものであり、CSRはその実現に積極的に関連するものと位置付けられています。
リスボン戦略の採択以来、EUの加盟国においてCSRに関する方針策定や具体的な取り組みが活発化してきました。
一般的に、ヨーロッパの政策的な取り組みは、EUにおける意思決定プロセスに主導されて発生することが多い傾向にあります。CSRに関する取り組みも例外ではなく、EUの主導の下で、加盟国の間では足並みを揃えた形で進められてきたのが特徴です。
CSRと混同しやすい用語
CSRと混同しやすい用語として、「サステナビリティ」「CSV」「SDGs」が挙げられます。それぞれどのような意味があるのかを詳しく説明します。
サステナビリティ(sustainability)との違い
CSRと混同しやすい用語としてサステナビリティが挙げられます。サステナビリティは、環境・社会・経済の観点から世界全体の持続可能な開発を目標としているのに対し、CSRは企業が自らの社会的責任を果たすことを意味します。
つまり、サステナビリティは地球規模の視点で配慮するのに対し、CSRは企業の視点に立った概念といえます。しかし、両者は密接に関連しており、企業がCSR活動に取り組むことで、サステナビリティの実現に貢献します。このように、CSRとサステナビリティは概念的に異なりますが、企業にとっては車の両輪のような関係にあると理解することが重要です。
CSVはCreating Shared Value(共通価値の創造)の略で、企業が社会課題の解決に取り組み、経済的な価値と社会的な価値の両立を目指す経営手法です。
一方、CSRは企業の社会的責任を意味し、事業活動とは無関係の奉仕活動なども含まれます。CSVはCSRよりも利益につながる活動を意味しています。
SDGs(Sustainable Development Goals)」との違い
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択された2030年までの国際目標のことです。SDGsは先進国と発展途上国の区別なく、すべての国が取り組むべき17の目標と、169のターゲットから成り立っています。
これらの目標は、貧困、健康、教育、ジェンダー、環境、経済成長など、持続可能な社会の実現に向けた包括的な課題を網羅しています。SDGsの特徴は、「誰一人取り残さない」ことを掲げ、経済、社会、環境の3つの側面を統合的に捉えている点にあります。
CSRを採用するメリット
CSRを企業が採用することで得られるメリットは以下の通りです。
- 企業イメージが向上する
- 企業イメージが向上する
- 従業員の満足度が高まる
企業イメージが向上する
CSRは企業が社会的責任を果たす活動で、環境保全や社会貢献、法令順守など、企業の事業活動が社会に及ぼす影響に配慮することが重要です。CSR活動に取り組むことで、企業は社会的課題の解決に貢献し、ステークホルダーからの信頼を得られます。
また、企業の社会的な取り組みが評価されることで、企業イメージの向上にもつながります。さらに、CSR活動を通じて新たな事業機会の創出など、企業にとってもプラスの効果が期待できるでしょう。企業にとってCSRは、ブランド力の向上や競争力強化につながる重要な経営戦略の一つとなります。
法令違反を事前に防げる
企業がCSRに取り組むことで、法令遵守やステークホルダーへの責任ある行動が重要視されるようになります。
これにより、社員や従業員のコンプライアンス意識が自然と高まっていきます。CSRの実践には、社内の内部統制の強化や研修の実施など、コンプライアンス意識を醸成する取り組みを行うことが大切です。
企業がCSRに取り組んだ結果、法令順守に対する意識が高まり、コンプライアンス違反のリスクを未然に防ぐことにつながるでしょう。
従業員の満足度が高まる
企業がCSRに取り組むことで、従業員の労働条件や労働環境の改善が期待できます。また、CSRを通じて企業が社会的信頼を得ることで、従業員にも誇りや責任感が生まれ、満足度の向上につながるでしょう。
さらに、CSR活動への参加機会の提供や、従業員の意見を反映させるなど、従業員のエンゲージメントを高める取り組みも、満足度向上に貢献します。
企業がCSRを取り組む際の注意点
企業が行う取り組みとして、どのようなことに注目しておかなければならないかを解説します。
コストがかかる
必然的に利益と直結しない活動を行うことになるため、その分のコストが増加<します。特に環境保護や地域社会への貢献活動などは、企業の収益に即座に反映されにくい取り組みです。また、CSR活動を行うためには人材の確保や、関連設備の導入など、追加投資が必要となります。
さらに、CSR活動の効果を測定・評価するためのシステム構築にも費用がかかります。企業はCSRの長期的な価値を見据えつつ、コストを適切に管理しなくてはなりません。
人手不足になりやすい
中小企業を中心に人的資源が限られている場合が多く、CSR活動に人手を割くことで本業の人材不足が生じてしまう可能性があります。
また、CSRの推進には、関連部署の設置や社内の意識改革など、組織全体での取り組みが求められるため、人手不足がさらに深刻化することも考慮しなくてはなりません。
一方で、CSR活動を通じて社員の満足度が向上し、人材の確保につながる効果も期待できます。企業はCSRの長期的な価値を見据えつつ、人材の適切な配置や外部リソースの活用など、柔軟な対応が求められます。
まとめ
CSRとは、社会的存在として企業が果たすべき責任のことです。単なる利益追求だけでなく、さまざまな利害関係者に対して責任ある行動をとることが求められます。
具体的には、環境問題、人権尊重、コンプライアンスの遵守、社会貢献活動など、企業活動全般において社会的責任を果たすことが重要です。CSRの取り組みは、企業の持続可能性を高め、ステークホルダーからの信頼を得ることにつながります。
企業は自社の事業活動が及ぼす影響を認識し、社会的責任を果たし、企業価値の向上と社会の発展に貢献することが期待されています。