2020.10.22
免税システム

免税販売手続き電子化制度とは?違いと補助金について

外国人の買い物

2020年4月1日より免税販売手続きの電子化が可能となりました。
 
これにより、多くの訪日外国人の訪日に関わる手続きの利便性が高まり、店舗側の負担も減らすことができるようになります。
 
また、免税システムの導入の際にかかる費用は、補助金や融資でまかなうことも可能です。
 
この記事では、免税販売手続きの電子化による現行の手続きとの違いや、利用出来る補助金や融資について解説していきます。
 
まだ免税システムの導入を行なっていない、新しい制度について詳しいことがわからないという場合はぜひ参考にしてみてください。

近畿システムサービス管理部

近畿システムサービスは、店舗のトータルな提案を行うシステム開発会社です。免税システム、RFIDソリューション、電子署名等、多くの業種システムの開発実績がありますが、特に流通関連のシステムでは多数の実績とノウハウがあります。

そもそも免税販売手続きの電子化とは

免税手続き
免税手続きの電子化は主に「訪日外国人の訪日に関する手続きの利便性向上」が目的となっています。
 
どのような点で利便性が向上するのか、更に詳しく見ていきましょう。

免税販売における手続きにかかる負担の軽減

免税販売手続きの電子化によって購入者、販売者ともに手続きにかかる負担の軽減が可能になります。
 
では、実際にどのような面で負担が減らされているのでしょうか。
 
それぞれの観点から免税販売手続き電子化のメリットを見ていきましょう。

購入者側のメリット

これまでは、免税店を利用する度に書類が増え、外国人観光客はその書類を持ち歩かなくてはならない状態でした。
 
外国人観光客の中には、免税店を利用した時に発生した書類をパスポートに挟む方も多かったため、それによってパスポートや書類の紛失を招くこともありました。
 
しかし、免税販売手続きの電子化によってこれらの負担やリスクが減り、購入者側は気兼ねなく買い物に専念することができます。

販売者側のメリット

販売者側のメリットとしては、免税帳票の作成の必要がないことや、購入契約書の保管が不要になり、外国人客の消費意欲を促進させることです。
 
2021年の9月にはこれまでの免税手続きの方法が完全に廃止されるため、早い段階で導入を検討しておくべきでしょう。
 
ここからはその免税手続きの変化についてご紹介していきます。

改正前の免税販売手続き

免税販売手続きの改正前の手順は、以下の通りとなっていました。
 

  1. 【購入者(非居住者)】購入時にパスポートを提示
  2. 【輸出物品販売場】非居住者であることを確認
  3. 【購入者(非居住者)】「購入者誓約書」を提出
  4. 【輸出物品販売場】「購入記録票」の旅券等への貼り付け(割印)
  5. 【輸出物品販売場】免税対象物品の引き渡し
  6. 【購入者(非居住者)】税関へ「購入記録票」を提出し、出国
  7. 【輸出物品販売場】「購入者誓約書」の保存(7年)

改正後の免税販売手続き

それに対して面性販売手続きの改正後は、以下のように手順が変更となっています。
 

  1. 【購入者(非居住者)】購入時にパスポートを提示、情報提供
  2. 【輸出物品販売場】非居住者であることを確認
  3. 【輸出物品販売場】購入者へ必要事項を説明
  4. 【輸出物品販売場】免税対象物品の引き渡し
  5. 【購入者(非居住者)】税関でパスポートを提示し、出国 
  6. 【輸出物品販売場】国税庁へ購入記録情報の提供
  7. 【輸出物品販売場】購入記録情報の保存(7年)

 
輸出物品販売場は、購入者への必要事項の説明や購入記録情報を国税庁へ提出する点。
 
購入者は、購入記録票などの書類の管理が不要になる点が大きな変更箇所となります。

旧制度と2020年4月1日以降の制度の主な違い

電卓で計算する手元
ここからは旧制度と2020年4月1日以降の制度の主な違いについてご紹介していきます。

購入者に対して必要事項を説明

輸出物品販売場において、免税販売を行う際、購入者に対し、必要な説明事項を説明しなければならないことになりました。
 
言語が通じない場合もあるので、その際は購入者に対して説明事項を外国語で記載した書類等を交付する方法、 店舗内に説明事項を外国語で記載した書類等を掲示する方法をとる必要があります。
 
ただし、これらのような方法で説明する場合、単に書類等を交付又は掲示するだけではなく、内容の確認を購入者側に促すことも求められます。

書面での取引が廃止

免税手続きの電子化に伴い基本的に書面での取引が廃止されます。
 
パスポート等の旅券だけは今まで通り利用しますが、基本的に情報は電子化することが免税店には求められます。

免税販売情報を国税庁へ送信

輸出物品販売場を経営する事業者は、購入者から提供を受けたパスポートの情報や購入の事実を記録した電磁的記録(購入記録情報)を、遅滞することなく国税長官に提出する義務があります。
 
事業者はインターネット回線を通じ、国税庁の運用する「免税販売管理システム」に接続し、購入記録情報をデータで送信します。
 
購入記録情報の提出は、自社で行うか他社に代行を依頼するか選ぶことができ、どちらの方法で提出するか、事前に納税地を所轄する税務署長に届け出が必要です。
 
また、認証に必要な免税販売管理システム専用の電子証明書(クライアント証明書)は、税務署への届出時に発行してもらうことができます。

免税データの保管

国税庁へ提供した購入記録情報は、免税販売を行った日が属する課税期間の末日を起点に、その翌日から2カ月を経過した日から7年間の保存が必要です。
 
購入者情報を印刷して作成した場合、整然とした形式で明瞭な状態で出力したものに限っては、書面で保存が可能。
 
保管期間は電子データの場合と同じです。

電子手続きを他社に依頼する場合

買い物する外国人客
輸出物品販売場を経営する事業者は、購入者情報を電子化して国税庁へ提出する手続きを他の会社へ依頼することが可能です。
 
依頼先は「承認送信事業者」と呼ばれる一定の要件を満たしている事業者となります。
 
それでは承認送信事業者とは何か、その依頼方法について見てみましょう。

承認送信事業者とは

承認送信事業者とは、免税販売手続きの電子化にともない、新しくできた名称です。
以下の承認要件をすべて満たした課税事業者を指します。
 

  • 現に国税の滞納(その徴収が著しく困難であるものに限ります。)がないこと
  • 購入記録情報を適切に国税庁長官に提供できること
  • 輸出物品販売場の許可を取り消され又は承認免税手続事業者若しくは承認送信事業者の承認を取り消され、かつ、その取消しの日から3年を経過しない者でないことその他購入記録情報を提供する承認送信事業者として特に不適当と認められる事情がないこと

承認送信事業者に依頼する時の手続き

承認送信事業者に依頼をする場合は、輸出物品販売場を経営する事業者と承認送信事業者との間で、代理送信について契約を締結します。
 
輸出物品販売場を経営する事業者は、経営する販売場ごとに「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を納税地の所轄する税務署へ提出して、識別符号の通知を受けます。
 
承認送信事業者と購入記録情報を共有する方法を双方で決定し、システムの構築やソフトウェアの設定が必要な場合は準備をしましょう。

電子手続きを自社で行う場合

電子化手続きは他社へ委託せず、自社で行うことも可能です。
 
自社で手続きをする際の準備や流れについて見てみましょう。

免税システムなら自社でも手続きできる

自社で手続きを行う場合には、自社システム使用・自社送信他社システム使用・自社送信をする2つのパターンがあります。
 
自社で免税システムやアプリを開発する場合、API仕様書や免税販売管理システムヘルプデスクについては国税庁のホームページに掲載がありますので、活用しましょう。
 
他社の免税システムを使用する場合は、どこの提供するサービスを使用するかまず検討しましょう。使用機材や既存システムと接続が可能であるかを確認した上でソフトウェアやアプリを取得し、セットアップなどのシステム対応を行います。

電子手続きを自社で行う時の手続き

「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を所轄の税務署へ提出し識別符号の通知を受けます。
 
届出書は経営する輸出物品販売場ごとに提出が必要です。
 
また、必要に応じて電子証明書(クライアント証明書)の発行も受けましょう。
 
「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」は、最寄りの税務署で受け取って記入するか、e-Taxでも提出が可能です。
 
識別符号の通知や電子証明書(クライアント証明書)の発行には、一定の時間が必要であるため、届出をする際には余裕を持って行うようにしましょう。

免税手続き電子化に利用出来る補助金や融資について

通帳を見て喜ぶ男性
では、実際に免税手続きの電子化に利用可能な補助金や融資の制度について、解説していきましょう。

観光庁の補助金制度

観光庁では、来日する外国人旅行者の受け入れ環境整備の一環として、免税手続きの電子化を含む、キャッシュレス決済対応や、無料Wi-fiなどの整備などの費用の支援を行なっています。
 
対象となっているのは、地方公共団体や、民間事業者及び協議会等となっています。
申請をする場合には、最寄りの地方運輸局等に行きましょう。
 
補助率は、補助の対象となるのはかかった費用の2分の1以内です。
 
令和元年度公募分の募集は終了しているので、今後の情報については観光庁のホームページを確認するようにしましょう。
 
予算がなくなり次第、募集を終了するとのことなので、早めに申請するのがおすすめです。
 
参考URL:観光庁

経済産業省の補助金制度

新型コロナウイルス感染症による経済対策の施策の一つとして、補助金対策が行われています。
 
主に中小企業、小規模事業者の生産性向上を図ることを目的としているため、資本金の額や従業員の数によって、対象となるかどうかが決まります。
 
また、補助の対象となる費用は、ソフトウェア費や導入関連費で、補助率は最大2分の1以内と決められています。
 
臨時対応の補助金になるため、1次公募は既に終了していますが、以降の公募情報は随時更新される見込みとのことです。
 
参考URL:IT導入補助金2020

日本政策金融公庫の融資制度

観光産業などの生産性向上や、観光消費の底上げを目的として、融資対策が行われています。
 
対象となるのは、中小企業者かつ、訪日外国人旅行者の消費需要の取り込みを図っている方です。
 
訪日外国人旅行者対応に必要な設備資金や、長期運転資金として使う予定のものが融資の対象となっています。
 
最大貸付は最大7億2千万、運転資金は2億5千万です。
利率は信用リスクや、融資期間などに応じて所定の利率が適用されます。
 
融資を希望する場合には、日本公庫各支店の中小企業事業の窓口で申し込みましょう。
 
参考URL:日本政策金融公庫

まとめ

免税販売手続き電子化制度について、現行手続きとの違いと補助金や融資制度について解説してきました。
いかがだったでしょうか。
 
現行の免税手続きは2021年9月までとなっています。
 
早めに導入を考えたい方、システムがどのようなものがあるのか気になる方はぜひ、近畿システムの免税システムをチェックしてみてくださいね。

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